健康ガイド  大腸がん、女性の部位別死因1位、男性は4位  ひらた医院 院長 平田孝浩

 
平田院長
▼平田院長プロフィール

大分上野丘高校から川崎医科大へ進学。昭和62年に同大を卒業後、大分医科大(現大分大医学部)第2外科へ入局。国立長崎中央病院、大分中村病院、厚生連鶴見病院、宇佐胃腸病院外科医長、織部消化器科副院長などを経て、平成14年7月に大分市田尻、サンライフトマト東側に胃腸科・肛門科・内科・外科診療の「ひらた医院」を開院。医学博士。日本外科学会専門医。日本消化器外科学会認定医。日本外科学会、日本消化器外科学会、日本大腸肛門病学会、日本消化器内視鏡学会、日本消化器病学会、日本胃癌学会に所属。電話097-548-7616。
ホームページhttp://www.hirataiin.com/
大腸がん、女性の部位別死因1位、男性は4位 -ひらた医院 平田孝浩院長
 【大腸がんとは】
 大腸がんとは、水分の吸収をつかさどる大腸にできるがんのことです。消化管の中で最も肛門に近い臓器で、お腹を「の」の字に取り囲むような筒状の形をしています。
 大腸がんは、大腸の内側の最も表面にある粘膜の細胞から発生し、徐々に大腸壁の内部へと深く進行していきます。他の臓器に比べ比較的進行がゆっくりで、早期にがんを発見できれば、完治する可能性が高いがんです。
 現在のところ、大腸がんの発生には2つの経路があると考えられています。1つは、粘膜組織が異常増殖し、腸管内に突起状の盛り上がりがみられるポリープ(腺腫)が何らかの刺激を受けてがん化するという経路。もう1つは、正常の粘膜が刺激を受けて、直接がんが発生するという経路です。
 【大腸の構造】
 大腸は、消化管の中で小腸の次に位置し長さは1.5~2メートルです。大腸は、右下腹部の盲腸から始まり、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸から構成されています(図1)。
 直腸は肛門へとつながります。結腸はお腹の中の広い空間にあり、上行結腸と横行結腸の間、横行結腸と下行結腸の間で腸間膜によって背中側にゆるく固定されていますが、その他の部分は固定されておらず自由に動きます。
 大腸の壁は、内側から順に粘膜、粘膜筋板、粘膜下層、固有筋層、しょう膜下層、しょう膜から構成されています(図2)。
 大腸は、小腸から送られてきた液状の便から水分を吸収し、その便はS状結腸にたまり、一定量たまると直腸へ下りてきます。直腸が拡張すると便意を生じ、たまった便を肛門から押し出す排便がおこります。
 【大腸がんの統計】
 厚生労働省が毎年行っている「人口動態統計」によると、がんは日本人の死因の1位を占めており、2位が心臓病、3位が脳血管障害です。日本人のがんによる死亡者数は年間30万人で、ほぼ3人に1人ががんで死亡していることになります。厚生労働省は、がんによる死亡者数は2020年には約45万人にまで増加する可能性があるとしています。
 【部位別がんの死亡率、女性1位は大腸がん】
 がんによる死亡率は臓器別に見ると、大腸がんは、肺がん、胃がんに次いでワースト3位となっています。男女別にみると、男性では肺がん、胃がん、肝臓がんに次いでワースト4位、女性では胃がんを上回り、ワースト1位です。
 大腸がんの増加には、高齢化の進展と食生活の欧米化が関与しているのではないかと考えられています。「がん・統計白書」によれば、2020年には大腸がんになる人の割合は人口10万に対して男性69.7%、女性44.9%となり、大腸がんによって死亡する人の割合は、男性三33.1%、女性16.6%になると予測されています。
 女性の場合、はずかしいからという理由で検査を先延ばしにする方も多いようですが、そのためにこのような結果が出ているとも考えられています。
 【大腸がんの危険因子と予防】
 大腸がんは、その一部に遺伝が関与しています。直系の親族が大腸がんの場合、その子供も大腸がんになる危険性が高くなります。中でも遺伝子異常を修復する働きを持つ遺伝子の異常によって発生する「家族性非ポリポーシス性大腸がん」と、大腸に多数の腺腫ができる「家族性大腸腺腫症」の家族歴は、五十歳未満での大腸がんを引き起こす危険性が高くなることがよく知られています。両親など、近い親戚にこの病気がいる場合には、年齢に関わりなく積極的に大腸がんの検診を受けた方がよいでしょう。
 がんの予防とは、その発生自体を防ぐ「一次予防」と、がんを早期に発見・治療することにより、がんによる死亡を防ぐ「二次予防」に分けることができます。大腸がん検診は二次予防になります。
 
 

一次予防に関しては、大腸がんを確実に予防できると証明された生活習慣はありません。現在のところ運動が有用であり、野菜・果物の摂取は有用な可能性があるとされています。その一方、確実に大腸がんを引き起こすと証明された生活習慣もありません。ただし、喫煙・肥満・ハムなどの加工肉をたくさん食べること・飲酒は、いずれも大腸がんになる危険性を高めるとされています。
大腸がんは早期に発見できれば、内視鏡で取ることも出来ます。しかし、進行してしまったら手術が基本です。しかも、進行すればするほど手術で切除しないといけない範囲も大きくなってしまいます。
大腸がんは早期のうちに治療できれば5年生存率は80~90%です。ところが進行して肺や肝臓に転移してしまっていると5年生存率は25%まで下がってしまいます。
大腸がんは早期に発見できれば治る可能性の高いがんです。大変な思いをしなくてすむように、定期的に大腸がんの検査を受けましょう。


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