健康ガイド 今、話題の社会不安障害について - あがり症は治る?
                                  深川内科クリニック 院長 深川 光司
 

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深川光司院長
▼深川光司院長プロフィール

福岡県立小倉高校から九州大医学部へ進学。同大卒業後、九州厚生年金病院、九州大附属病院第一内科、福岡県立遠賀病院内科医長、大分医大(現大分大医学部)内分泌内科(第一内科)などを経て平成15年5月、大分市中央町2丁目1-17、ブンゴヤ本社ビル3階(若草公園南東側)に医療法人ストレスケア若草「深川内科クリニック」を開院。診療科目は甲状腺などの内分泌系疾患や糖尿病などを中心とした内科系全般。肥満の研究のため米国ルイジアナ州立大学への留学経験もあり、内分泌疾患や糖尿病、肥満の治療などに精通。医学博士。日本内科学会認定医。日本内分泌学会、日本心身学会、日本肥満学会、日本糖尿病学会に所属。連絡は電話097-532-8980へ。
HP http://www.h6.dion.ne.jp/~fukagawa/
今、話題の社会不安障害について - あがり症は治る? 深川内科クリニック 深川光司院長
 最近、社会不安障害(SAD)の新たな治療法が確立され、注目されています。
 初対面の人や大勢の人前で話す時に、顔が赤くなる、動悸がする、胸が苦しくなる、声が出にくいなど、普段のように話ができない。結婚式などで記名する時、手が震えて字がうまくかけないなど、特定の状況や場所で体調が悪くなり、日常生活や仕事など社会生活に著しい支障をきたし、そういう状況や場所を避けるようになると社会不安障害と診断されます。
 例えば、会議や学校の会合に出席すると、指名されないか不安で、動悸や冷汗、嘔気がして気分不良となり、最後まで出席できず、欠席するようにしているなどが当てはまります。これまで、自分はあがり症だからとあきらめていた方もおられるかと思います。
 社会不安障害の原因は、脳が、不安をおこすセロトニンに対し過剰反応をおこし、同じ状況で感じる不安を、健康な人よりも異常に強く感じるため、不安が強くなり自律神経症状(動悸、赤面、冷汗、声や手足の震え、嘔気、息苦しさ、めまいなど)に苦しむことになります。
 
 治療は、不安を引き起こすセロトニンに対する過敏性を改善するSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)を半年から1年服用します。体質が改善し自律神経症状が出なくなるまで継続し、セロトニンに対する過敏性が改善し、不安も消失すれば治療終了となります。最初はSSRIと自律神経症状に即効性のある精神安定剤を併用し、治療が進めば、自律神経症状が出なくなるので、SSRI単独に減量して、治癒すればSSRIも服用終了となります。SSRIは服用開始から2週間までに、副作用(嘔気など)がでやすいので、副作用防止のため少量から服用開始し、二週間後、効果が出るまで徐々に増量し、治癒すれば、漸減して服薬終了するのですが、治癒するまで中断せず服用することが重要です。
 人前で話す時、動悸や赤面、手の震えのあった方が、治療が進むと人前で話しても症状が出なくなります。同じ症状で悩まれている方は、受診をお薦めします。

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